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拒絶理由通知に対する応答期間の延長

拒絶理由通知が来た場合、60日以内に特許庁に意見書を提出して応答しなければ拒絶査定となります。
この60日を応答期間と呼んだりしますが、2年前から応答期間を延長できるようになりました。

拒絶理由通知とは何か

拒絶理由通知とは、出願された発明に対して、特許査定できない理由を記載した書類です。
特許出願を行うと、前回の記事に載せたチャートに沿って手続きが進みます。
出願後又は出願と同時に審査請求を行うと、特許庁にて出願書類の審査が開始されます。
その後、大抵の場合、出願に対して拒絶理由が通知されます。この拒絶理由通知に対して反論して、拒絶理由を解消することで、特許査定を得ることができます。
反論とは意見書を提出することです。
意見書と同時に手続補正書を提出して、特許の内容を変更することも可能です。
拒絶理由通知に対して反論しなかったり、反論しても拒絶理由を解消できなかった場合、拒絶査定になります。

応答期間の延長

拒絶理由通知は、通知の発送の日から60日以内に反論する必要があります(在外者は3か月)。
この60日を応答期間と呼びます。応答期間内に反論しなければ拒絶査定となります。
詳細は割愛しますが、この60日の期間にやることは色々あるため、60日とは長いようで短いです。
そういう理由というわけではありませんが、応答期間の延長制度が導入されました。
この制度によって最大二カ月ほど、応答期間を延長することが可能になりました。

手続きとか費用

応答期間を延長するには期間延長請求書を特許庁に提出する必要があります。
これは応答期間の60日を過ぎる前に提出することも、過ぎた後に提出することもできます。
ただ、応答期間を過ぎる前に提出したか否かで費用が異なってきます。
提出前だと2100円、提出後だと51000円で、かなり違います。
さらに、弁理士費用が乗ってくるので、延長することに決めたならば応答期間を過ぎる前に提出した方がいいでしょう。

特許出願の流れ

特許とは、出願すればすぐに特許権が得られるわけではありません。
審査を経て、特許性を認められて初めて特許権を得ることが可能になります。
その特許出願から特許権を得るまでの流れを絵にしました。

特許出願のフローチャート

特許権を得るためには、発明の内容を説明した書類(データ可)を特許庁に提出する必要があります。
そして、特許庁の審査を経て、特許性を認められれば特許査定されます。
そこまでの流れを示した図が以下の図です。

項目の解説

①弁理士と相談
出願したい発明の内容について弁理士と相談をします。
②特許出願
①の相談の結果をもとに、弁理士が出願書類を作成し、特許庁に特許出願をします。
③審査請求・出願公開
出願された発明は、審査請求を行うことで審査を受けることができます。
また、審査請求を行うか否かに関わらず出願から1年6か月が経過すると、出願公開という形で発明の内容が公開されます。
④拒絶理由通知
審査の結果、拒絶理由通知が見つかれば、その拒絶理由が通知されます。
⑤意見書・補正書提出
拒絶理由通知に対して、意見書・補正書を提出して反論します。
⑥査定
審査の結果、拒絶理由通知が見つからなかったり、⑤の反論によって拒絶理由が解消されれれば特許査定されます。
これに対して、⑤の反論によって拒絶理由が解消されなければ、拒絶査定されます。
⑦登録料納付・拒絶査定不服審判請求
特許査定された場合、登録料を納付します。
拒絶査定の内容に不服があれば、拒絶査定不服審判を請求します。
⑧特許権発生
登録料を納付すると、特許権が発生します。

特許を取りたいと思ったら

特許を取りたいと思った方は、まずは特許事務所に連絡を取ってみてください。そこから①が始まります。特許事務所によって技術分野に得意不得意がありますので、自身が特許を取りたい分野がどのような分野なのかを鑑みて、特許事務所を決めるといいと思います。

分割出願で相手を攻める

分割出願とは何か

特許法には特許に関する色々な制度が規定されている。分割出願もその1つだ。
分割出願とは、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる特許法44条第1項)規定。
一応はこのように規定されていますが、実務的には様々な目的で用いることができる。
例えば、拒絶査定された特許出願について再度、審査してもらうために分割出願をすることができる。どうしても権利が欲しい場合に行われることがある。
また、特許査定された特許出願についても、請求項の内容を変更して、審査してもらうために分割出願をすることができる。
弁理士試験の勉強では、単一性違反の拒絶理由を解消する手段として学びましたが、実務の中では上記2つのいずれかを目的として分割出願することが多いように思える。

分割出願で攻撃する

この分割出願は、相手を攻撃するときに用いることができる。
例えば、相手が自分の出願している特許明細書に記載された製品を販売しているけど、請求項の記載とは異なる場合だ。
こういう場合、現行の特許権で権利行使をしたとしても勝てる見込み(差し止め、損害賠償)は薄い。
こういうとき、分割出願が生きてくる。
分割出願を行う際に、相手の製品に合わせて請求項を作成すればいい。
これで特許権が認められれば、後は攻撃するだけだ。
といっても、いきなり訴訟することはほとんどない。
通常の場合、何らかの形で交渉が行われる。そして、交渉が決裂したときに訴訟まで行く可能性がある。
このように、相手を攻めることを目的としている出願は、常に分割できる状態を維持しておくのが望ましい。

早期審査を忘れずに

分割出願だからといって、審査が早く行われると言う事はない。
このため、相手を攻撃する目的がある場合、分割出願と同時に早期審査の手続きを行うことをお勧めする。
早期審査をしなければ、権利化まで1年以上かかることもあり、攻撃をしようと思ったら相手がもうやめていたなんてこともあり得る。
それでも侵害していた期間の損害賠償は請求できるだろうが、期間が長くなればなるほど損害額の算定などが面倒になるだろう。

まとめ

分割出願は、相手を攻撃するときにも、どうしても権利が欲しくもっと審査してほしいときにも、使用することができる制度。
条文に記載されていること以上に用途の幅は広い。
相手を攻撃する際には、請求項の記載を相手の製品に合わせて作成することができるため、有利。
早期に攻撃できるように、早期審査と組み合わせるとなおよい。

まとめ審査という特許庁の審査制度

まとめ審査とは何か

先日、まとめ審査の事業説明をしに、お客様と一緒に特許庁を訪問した。
いま、特許庁は六本木に仮移転している。
六本木の特許庁に訪問するのは今回が初めて。
まとめ審査とは、ある要件を満たした複数の出願(2件~20件)をまとめて審査してくれる制度。
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/matome_sinsa.htm
1つの事業で複数の特許を出願したときに、権利化の時期がバラバラになってしまうことで、特許が使いにくくなってしまったり、事業実施に支障が出ることを防ぐことができる。
特許だけではなく、意匠や商標などもまとめて審査してくれる。

まとめ審査のやり方

一応、上述のURLに記載されているが、要約するとこのような感じ。
今回は、①~④まではお客様がやってくれていたので、僕は⑤から参加。
①まずは特許庁あてにメール
②特許庁から申請書が届く。
③申請書に記入し、返信。
④事業説明の日程調整
⑤事業説明の実施
(⑤までに審査請求を行う必要があります。また、権利化希望時期に応じて、まとめ審査をおこなう出願のうち1件について早期審査の手続きを行う必要がある。)
⑥審査開始

事業説明で話すこと

事業説明では、自社(お客様の会社)がどのような事業を行っている又は行う予定なのかを説明する。
そして、事業が審査対象の特許のどの部分に該当するのかを説明する。
説明に当たって、現物をもってきてもよい。
むしろ、審査官に発明の良さを理解していただくために、積極的に現物を見てもらったほうがよいと思う。
今回の事業説明では、現物をお見せしたとき、明らかに審査官の心証が肯定的になったではないかと感じた。
まあ、その後の審査でその心証は変わる可能性は十分にあるのだが・・・。

まとめ

1つの事業で色々な特許を出願することは多い。
大きな企業であるほどまとめて出願する機会は多いし、小さな企業であっても1つずつ出願を積み重ねていくことはある。
こうしてなされた複数の特許出願が、バラバラに権利化されてしまうと、事業実施のタイミングに合わないことがある。
まとめ審査では、このような事情を考慮してまとめて審査をしてくれる。
特許法をはじめとした知的財産権法は、産業の発達を目的とした法律であるため、このような制度は法目的に沿ったすごく便利な制度に思う。

セミナーを上手に見せる3つのコツ

3つのコツ

弁理士になって、なるべく人前で話す機会を得るようにしています。
先日、大手企業様にセミナーを行いました。
できる限りの準備をしたお陰で、高評価をいただきました。
しかし、自分自身の評価としては今一つでした。
僕ならばもっと、上手にわかりやすく面白くセミナーができるはずだと思いました。
それでも、高評価を頂くことができたのは、次の3点に気を付けていたからだと思います。
①立って話す
②一文を短く話す
③前を向く

①立って話す

 セミナー会場では椅子が用意されていました。だけど、僕は立って話をすることにこだわりました。
 これからセミナーをしてやるんじゃなくて、セミナーをさせて頂くと捉えていたので、座って話をするなんて、偉そうだなと思ったんです。
 それだけではなく、立って話すとそれだけで声が出ます。座って話すと声がでにくい。
 セミナーではマイクを使いましたが、それは声が小さいから使ったのではなく、聞こえないことがないように使ったにすぎません。

②一文を短くする

 話すときの一文は、短くなるように努めました。長いと聞き手がつかれるし、冒頭の方を忘れちゃうからです。
 また、話し手である自分も何を言ってるんだっけ?となります。そして、言い直しに繋がります。
 話してる最中に長くなりそうだなと思ったら、強引に打ち切りました。
 そして、また続きから一文を始めます。途中で打ち切ったとしても、主語を加えて話し始めればいいだけです。

③前を向く

 セミナー中は、できる限りお客様を見ます。
 下にはセミナーのスライドを映したPC、背後にはスクリーンがあります。
 よどみなく声を出すためには、PC又はスクリーンを見ながら声を出すのが良いです。
 だけど、それでは声はPC又はスクリーンの方に向かって飛んでいきます。お客様の方には飛びません。
 それでは、しっかりと聞いてもらえません。
 話すときは、お客様のいる前を向いて話をします。可能な限り全体を見渡しながら話をします。

共通点は相手に伝えようとする姿勢

この3つのコツの共通点は、お客様に伝えようとする姿勢です。
お客様に十分に伝えようと思ったら自分は何をするべきか?を考えてみるのが良いと思います。
講演者は、立って話したほうが良いです。プレゼンが凄く上手な人が座ってプレゼンをすると言う事はほとんどないと思います。
もちろん、立ってられないくらい長い時間のセミナーの場合、適宜座ることもありますが。
また、一文を長くすると、聞き手が疲れてしまい、聞く気をなくす場合があります。
そんなことにならないように、一文を短くして話します。
話すときの向きも同様です。僕はPCやスクリーンに伝えようとしてるわけではないので、前を見て話します。
もちろん、3つのコツがすべてではありません。
セミナーにおいてお客様に伝えるにはどうするのが良いのか?
常に考えて改善していく必要があります。